ポーセラーツ用転写紙について
転写紙の構造
磁器に可愛らしいイラストなんかを貼り付けてくれる魔法のような転写紙ですが、いったいどのような構造になっているのでしょうか。
まず土台となる和紙などの台紙があり、そこに水に溶けやすい糊が印刷されています。その上に色鮮やかな上絵の具で模様やイラストが印刷されており、
この部分が転写紙選びで最も重要となります。
ここ以外はどの転写紙も同じような物で似たり寄ったりですが、上絵の具の印刷だけは何十種類、何百種類と多くのバージョンが存在します。
そして販売価格を決めるのも上絵の具で印刷されたここになるでしょう。
素材や原材料費よりも、デザイン料が転写紙の販売価格に影響を与えるからです。
そしてその上にはガラスの皮膜が印刷されており、さらにその上に保護膜がプリントされているのが一般的な転写紙の構造となっております。
しかしこの世の中にはそれ以外の構造を持つものもあり、ガラスの皮膜が印刷されていないものや保護膜にガラスが含まれているタイプなどもあるので、
もしも購入したいのがどんな構造になっているのか気になるのなら、ショップのスタッフに遠慮なく質問して確認して下さい。
大雑把には、水に浸すとはがれる台紙、上絵の具によるアート部分、磁器に貼ってから定着させ保護する膜、が転写紙を構成する要素となります。
転写紙の使用法
では次に使い方ですが、その時使いたい範囲だけ転写紙をカットします。
それをお水の中に投入すると糊が溶けて台紙から絵柄を離脱させられる状態になりますが、もうしばらくは台紙とセットのままで扱います。
指でちょこっとだけずらしてみて台紙と絵柄が離れたことが確認できたら、プリントされた絵柄を台紙に乗せたまま水中から取り出して目標である磁器へと速やかにかつ軽やかに移動させます。
貼り付けたい場所に到着したら台紙ごと一旦磁器の上に載せて、その後落ち着いて台紙だけを横方向へと移動させて抜き取ります。
水から取り出した時点で台紙から完全に離れてしまっていると、支えるものがなく絵柄がクシャッとなってしまい上手に貼れなくなる恐れがあるので気をつけましょう。
念入りに水に浸しすぎると糊が完全に溶けてしまい台紙から離れてしまいますので、あまり長時間水中に留まらせてはいけません。
またその状態では糊も大半が水の中に取り残されることになり、磁器に貼り付ける力が足りなくて問題が発生することもあります。
取り出すのが早すぎても上手に台紙からはがせませんが、遅すぎてもいけないので経験を積んでベストタイミングを覚えましょう。
慣れないうちは一度に1枚ずつが鉄則で、何枚もをいっぺんに水中に投入するとアタフタしてしまい失敗する確率が上がってしまいます。
固定作業
台紙を取り除いても磁器との間には多量の水分が残されていますから、位置を修正することはしばらくの間はできます。
微調整が済んで貼り付ける位置が決まったら、固定する作業へと移行します。
水を吸収しやすいティッシュペーパーを駆使して、一滴残らず水分を除去しましょう。
上からティッシュで押すと内部の水が押し出され、それをティッシュが吸い取ってくれるのでまずはこの方法で進めていきます。
これでサラサラの水分はあらかた処理できますが、まだ完璧ではありません。
糊が溶けてドロドロになった水も多くを除去しなければなりませんので、ゆっくりと時間をかけてティッシュで押し続けます。
ゴムへらなどの道具も使い、磁器にピッタリと密着するまで頑張ります。こうして完全に絵柄が固定されたら、いよいよ電気炉で焼成です。
貼り付けが完了したらすぐにでも取り掛かりたい工程ですが、しっかり乾くまで待ってから行った方がいいという説もありますが、どっちでもよさそうです。
ただ絵柄と磁器の間に空気や水が残っていると、焼成の熱でそれが膨らんでしまい穴が空いてしまうこともあるので確認はしっかりとしておきましょう。
焼成で保護膜は溶け、ガラスの皮膜も溶けてしまいます。
そして磁器の表面にカラーごと定着する、という仕組みです。
高温になればいいんでしょ、と電気炉以外のオーブンなんかの使用は危険です。