ポーセラーツの上絵付け
量産される上絵付け
日本国内で販売されている磁器のほとんどが上絵付けによるものです。
施釉して本焼成してから磁器にアートするのですが、着色してある釉薬を使う場合は色釉と呼ばれ敬われます。
市販されている磁器は上絵付けが大半なのですが、その理由は下絵付けはアートしてから本焼きをしますので絵柄が不規則に変化しやすいからでしょう。
量産される市販品は品質が均一でないといけませんので、高温で本焼きされて変色したりすると困ります。
ですが上絵付けは本焼きが終了してから行われますので、完成したアートを傷付けてしまう心配はほとんどありません。
また転写紙を活用して行うケースでは、どの作品も同じ位置に同じイラストや柄をプリントすることがとても容易に行えるという利点もあります。
転写紙は個人で愉しむポーセラーツのみで使われているのではなく、企業が市販している商品の多くにも使われているのです。
決められた位置に転写紙を貼るだけなので、何百、何千という量産体制にも対応できるのが製造業者を喜ばせています。
この量産向けというのは個人にも当てはまり、もしも数十人に自作のポーセラーツを贈ろうと企画したのなら、上絵の具で1つずつ描きこむよりも転写紙を用いて
大量生産するのが手っ取り早いでしょう。
赤色の変色
上絵付けに使われる上絵の具は焼成してもほとんど変色しないので、完成品をイメージしやすいとされています。
少しだけ薄くなることがあるのでそのことを念頭に置いて作品造りをするとよいかもしれませんが、赤系の色は大きく変色してしまうこともありますから、
焼成の環境次第では注意が必要となります。
そんなに高くない温度で焼成したのなら赤系も鮮やかになるのですが、高温だと茶色っぽい赤色になってしまいますので、重要度の高いポイントに赤色を用いる際には
焼成の温度に気をつけましょう。
温度が高いほうが他の色もしっかりと定着するので低温で焼成するのを嫌がる人も多いでしょうが、その場合は2段階にわけるという手もあります。
1回目は赤色を除いて着色し、赤抜きで普通に温度を上げて焼成します。2回目は赤系のみを着色して、少し温度を下げて焼成します。
こうすれば赤系以外はしっかりとアートが定着し、不安になる赤系の色も茶色っぽく変色することを避けられます。
温度の目安ですが、800度近くで焼成すると赤系はその色彩を保てなくなると言い伝えられていますので、赤色を含む場合だけ750度位で焼成しましょう。
しかしそこまで計算して赤茶色で表現したいものがあるのならその限りではありません。
温度を変えて何度か試して、どんな結果になるのか調べてもいいですね。
ピンク色の変色
赤系は高温で焼成すると茶色っぽくなってしまいますが、ピンク系は低温だと橙っぽくなってしまうのでこれも注意が必要でしょう。
しかし茶色っぽくなってしまったら取り返しのつかない赤系とは違い、ピンクの場合は改めて高温で焼成すれば橙色からピンク色に返り咲きさせられます。
橙っぽくなったのなら温度が低すぎたということなので、もう一度高い熱で焼成すれば初回の失敗は取り返すことができるのです。
なので赤系よりも気を使う必要はありませんから、恐れずに焼成にチャレンジして好みのピンク色になるまでたゆまぬ努力をしましょう。
ただ問題は、赤系とピンク系の両方を使っている場合です。
赤系統の上絵の具を使用したうえでピンク系統の上絵の具の発色をより良くすべく高温で焼成しようとすると、きれいなピンク色にはなるでしょうが赤の方が茶色っぽくなってしまい、
残念なポーセラーツになってしまいます。
なので1つの磁器にこの2色を施すのなら、どんな順番で着色して焼成するのがベストかよく考えてから実行に移すようにしましょう。
女性に人気のカラーですし、ポーセラーツを趣味にしていればいずれは使う機会もやってくる色でしょうから、赤系とピンク系の焼成による変色についてはみなさんも心得ておきましょう。
知らずに焼成してビックリしたりガッカリしないためにも・・・。